今日は身近な外国、香港のタンゴについてご紹介します。

私の香港に住んでいる姉が出産をすることになり、
その手伝いをしに香港を訪れたとき、
折りよく香港アートフェスティバルというイベントが開催されていました。
実は、そこで「Una noche de TANGO」というのが来る、
ということを前もって香港でミロンガをやっている友達から聞いていたので
このタイミングを狙って渡航したのでした。

当日、会場はほぼ満員。本当にびっくりしました。
なんとたくさんの人がタンゴを観に来ている事か。
老若男女はもとより現地の人や駐在の欧米人など人種も様々で、
みんなきれいにドレスアップし、そのままパーティにでもなりそうです。
香港でタンゴの人気はないに等しい、と聞いていたのに以外でした。
やはりいい物は国籍を越えるんだなあと、妙に感慨にふけっていると
間もなく幕が上がり、舞台が始まりました。この時の舞台はとてもすばらしく、
今まで日本で観にいったものとはまるで違いました。若い人たちの舞台でしたが、
情熱、スピード、美しさ、どれをとっても驚くほどの感動を与えてくれるものでした。
何度でも観たくなる、そして自分も踊りたい気持ちが高くなる、そういう舞台でした。
タンゴを観て感動で涙が出そうになったのはこれが初めてでした。
いつか日本にも来てほしいと、切に願います。

ところで。第1幕が終り、興奮さめやらぬ短い休憩時間でのこと。
通路に出てみると、おもしろいことがありました。
一人できている男性、グループで観に来ている女の子たち。
なんと通路でステップのまねをしていたのでした。ですが、
明らかに習ったことがない人たちなのでなかなか上手くいかないようです。
「こうだよね」「こんな風に足が入って。。」「ちがう!こうだったよ」などと言いながら。
洗面所では鏡の前でボレオをやってみている人たちが
結構いてびっくりしました。しかしそれがなんともほほえましく、
「この人たちも、今日はせっかくタンゴに出会ったのだからやってみればいいのに、
そうすればもっと香港タンゴがおもしろくなるのにもったいないな」
などと思いながら私は席に戻ったのでした。


私が香港のミロンガに初めて行ってみたのは2年前。
香港はごみごみしたイメージもありますが、イギリスの植民地であった影響から
ヨーロッパ風の古い建物が、高度な経済成長の後とも言うべき
高層ビルの間に今でも数多く残っていて、一瞬アジアだということを
忘れてしまうような雰囲気のところもあります。
そんな天井の高い洋館がバレースタジオのように改造され、
週に2回ほどミロンガの場所として利用されているのでした。
昨年2度目にその場を訪れてみたときのこと、
最初に訪れた時にいた人たちもいましたが、その日はアートフェスティバルでの
タンゴの後で晩かったせいか、20人程度の人数でした。
香港人、フランス人、日本人、イギリス人やユダヤ系。やはりここでも多国籍です。
入り口でメンバーは
HK$40、それ以外の人はHK$60(日本円でいうと900円くらい)を払います。

主催は、タンゴダンサーではないのですが
フランス人のカップル(フレデリックとバーティス)がプラクティカをやっていて
それが終わるとミロンガタイム。照明を落として始まりです。
フレデリックは自分で持ってきた好きなCDを大きなスピーカーにつないだラジカセに入れます。
みんなはそれぞれ踊る人もいれば、ドリンクを片手に談笑したり踊る姿を見眺めたり..と、
日本のミロンガとさして変わりません。
「オーストラリアから仕事のついでにここに遊びに来たんだけど、
ここはアットホームでいいんだよねえ。」と語るアメリカ人男性も
ここに来るのを楽しみにしていたようです。

途中、本日のゲスト紹介ということで、
シンガポールから来たタンゴダンサー、アメリカから来たMr.○○、
そして東京から来た私(!)が紹介されたのでした。
とってもびっくりしましたが、本当にアットホームなミロンガで、
代わる代わる誘いにきてくれてとても楽しく過ごすことができました。
2日後のミロンガやサルサにも誘ってもらいましたが、
その日は日本に帰国する日だったので残念ながら断り、
温かい思いとともに日本に帰ってきたのでした。

「またすぐ来るから。」
と約束して帰ってきたものの、そうこうしているうちに昨今のSARS騒ぎがおこり、
次回はいつ行けるのだろうかと、あの時のみんなは無事なのだろうかと、
近くて遠くなってしまった香港のミロンガに思いを馳せているのでした。

参考資料:Tango Tang in HongKong
http://www.tangotang.com/

* HPをチェックしてみると、プラクティカ、ミロンガ、ともに健在のようです。
また遊びにいける日を楽しみにしています。

by ゆみち
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