タンゴダンサー カルロスリバローラ氏インタビュー

映画「Tango」でメインダンサーを演じたカルロス・リバローラさんが、
日本のタンゴ事情を知るために来日しました。

TangoLoveでは、読者の皆様に
世界的タンゴダンサーの生コメントをお伝えしようとインタビュー企画を考案。
直撃インタビューを何度か試みたところ、タンゴレポーター 
バロン池田がついにインタビューに成功いたしました!

そこで、「世界的タンゴダンサー カルロス・リバローラ直撃インタビュー!!」
と題して、インタビューの内容を皆様にご紹介したします。
(尚、インタビューはほとんどスペイン語で行われました。レポートに翻訳する段階で、
微妙なニュアンスなど、翻訳の限界があることをご了承ください。)

  インタビューアー バロン池田
バロン:

 Tangoとはどのような踊りなのでしょうか?

カルロス氏:  そもそもTangoは、場末の酒場で踊られる、いかがわしい類の踊りであった。
 その背景には、新大陸で孤独・差別・失業など抑圧された環境からの
 一種の発露、反抗から始まったと言われている。

 そこには、売春にもつながる、男性の欲望のはけ口とも関係した、
 いわば女性に対する征服欲を満たす性格も帯びていた。
 時代と共に、踊り自体は少しずつ洗練されてゆき、
 現在のショウ的な性格を強くして行った。

 現在は、自己表現の一つや、自己解放の一つとしての
 一面がストレスの多い現代に受け入れられている。

バロン:  そうすると、Tangoのベースラインはマッチョですか?
カルロス氏:  それは違うと思う。 Tango発祥時には、
 女性に対する征服欲を満たす踊りであったことは確かだが、
 Tangoの本質は、自己表現や自己解放の方が強いと思う。

 それに、ペアーで踊るこの踊りは、自己中心的な踊りではなく、
 相手に対する思いやりも重要で、
 お互いが気分良く踊れることが大切だ

バロン:  ショウで見る踊りは、激しく・情熱的で、気持ち良い、
 思いやりの踊りとは見えませんが?
カルロス氏:

 確かに、ショウの踊りは見せる・感動を与える側面を強調した
 Tangoの一つの極かもしれない。 

 しかし、Tangoの魅力は自己表現や自己解放であり、
 見ることによって解放感や感動を得ることができる踊りは、
 見ても踊っても同じ効果を与えるのではないでしょうか?

バロン:  おっしゃる通りかもしれませんね。 
 そういった観点から、良い踊りとはどんな踊りを言うのでしょうか?
カルロス氏:

 良い踊りとは、
 人それぞれ視点が異なり、数値や点数ではかれるものではありません。
 ショウダンサー以外で、良い踊りとは、やはり踊って気持ち良いか?
 別の言葉で言えば、踊って自己表現や開放感を味わえ、
 同時に、踊る相手も満足できるかどうか?ではないでしょうか。

 たとえば、ブエノスアイレスに無数にある「ミロンガ」と呼ばれる
 タンゴサロンでは、意外と若いハンサムな男性より
 50代・60代の年輩の男性が20代の若い女性にもてるんですよ。
 踊りの上手い、そして相手に気持ちよく踊らせる男性が
 人気である事実は、タンゴの魅力が単に見た目の良い相手と
 踊ることで満たされることではないことを示しています。

 私も、若くセクシーだけど自分勝手な女性より、
 気持ちよく踊れる年輩の相手の方が、
 Tangoの相手として最適だと確信しております。

バロン:  説得力のある言葉ですね。ちょっと意地悪な質問ですが、
 仮に若くセクシーで踊りが上手く、自分勝手でない相手なら
 文句はないですね?
カルロス氏:

 そうですね。
 ただ、実際には年齢を重ねることによって
 醸し出される味も重要な踊りの要素であり、
 ブエノスの若い子達は経験的に50代・60代の男性が気持ちよく
 踊らせてくれる事を知っているようです。

 年を重ねるにつれて良い踊りが出来る。素敵な通りだと思いませんか?

バロン:

 日本ではいい年をして・・・とか、
 若い女性と踊ると「エロじじい」みたいに思われるようで
 躊躇してしまう方もいらっしゃいますし、逆に、若い相手に
 「この若造が、この小娘が」と説教魔・教え魔に変わってしまう方も
 いらっしゃって、なかなか上手くいかないようですね。

 しかし、Tangoの良さはカルロスさんのおっしゃる通りで、
 日本にもそういった良いTango文化が広まり、根付くようになればいいですね。

カルロス氏:  いまTangoLoveで紹介しているような、
 イベントが定着すれば決して夢物語ではないと思います。
 これからも、楽しい・気持ちいいTangoを広めてください。期待しております
バロン:  ありがとうございました

カルロスリバローラ プロフィール

1983年から世界的なブームを巻き起こした
「タンゴアルヘンティーノ」の主要メンバ一として世界各地で称賛を浴びる。

映画「タンゴバー」・「ネイキッドタンゴ」の振付、「血の婚礼」「カルメン」「ブラメンコ」で
欧州を代表する映画監督カルロス・サウラ氏の「タンゴ」でも、
主演ダンサー、エルネスト・ランディ役で活躍するだけでなく、振り付け師としても活躍している。

カルロスリバローラさん、本当にありがとうございました。

これからも是非、Tango Love-Nightに遊びに来てください。

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